深く多様なゲーム観に感銘する本~ゲーム化する世界

ゲームが人の世界観や心に与える影響を多様な視点から分析している本。

「ゲームをすることによって私たちが何者になるのか、ゲーム体験は私たちの世界をどう変容するのか」を多角的に検討している。

 

身近な存在であるゲームに対して、今まで考えたこともないような視点による深い洞察が示されていて、「確かにそうかも。。。!」という驚きがいくつもあった。それによってゲームというものの見方が大きく変わったし、人の世界観をここまで深く客観的に分析することができることに驚き、非常に興味深く読めた。今まで人の感情など曖昧なものだと考え深く考えたことはなかったが、人の感情に環境が与える影響についての客観的な視点を得たように思う。

 

しかしいくらか客観的とは言え、いまだ完全に定量化できる分野ではないので、研究者たちの主観が強く、納得できない部分もいくらかあった。そういう点も、教科書のように完成された理屈でないが故の飛躍した多様な理屈が見られて示唆に富んでいるように思う。

 

 

この本を読んで僕が思った「ゲームとは何か」という問いに対する答えを書き留めたい。

 

結論から言うとゲームとは、人に特定の感情を味わわせるための遊びである。

例えば現実にサッカーをプレイすると、相手をドリブルで抜く快感やスルーパスを受ける緊張感など、様々な感情を感じることができる。また監督になれば采配や指示をすることによって得る楽しさも感じることができる。

一方ウイニングイレブンではプレイヤーはピッチに立つ選手と監督両方の役割を演じることができ、両方の感情を簡易的に味わえる。

 

このようにゲームは、本来特定の環境で特定の複雑な動作や行為を行わないと得られないようなスリルや緊張感や快感の中で製作者が切り取った部分を、(ドラックが簡易的に快感を味わわせてくれるように)簡易的に味わわせてくれるのである。