“炎上と拡散の考現学”を読んで思った炎上の本質

この本を読んで炎上、拡散の本質に気づけた気がするから書き留めておきたい。この本自体は主張の検証が甘いと思うのであまりオススメしない。(アイデアとデータは示唆に富んでいて興味深いと思う。)

 

炎上と拡散のキーポイントは「視点」だ。

 

世の中のものには様々な見方があり、人々はそれぞれの視点でその対象を解釈する。炎上とは本来独立しているはずの人々の視点が、「これは不正だ」「これは悪だ」など否定的な面のみに偏っている現象だ。(拡散する場合は肯定的な面のみに偏る。)

 

三者の発信する情報には、本来あった視点がいくつか抜けており、その意味で情報は変質している。(作者の定義した「変質」とはおそらく違う意味だろうが)そしてその投稿を見た人の視点はその投稿の視点から情報源を見てしまい、炎上が起こる

 

 

本書で紹介されている炎上例を使って具体的に見てみよう。

 

サイバーエージェント」の炎上

サイバーエージェント代表取締役藤田晋氏が自社を中途退職した社員に激怒して、新聞の有料サイトに(社員目線を無視した)コラムを書き、炎上しました。(本書の116ページ参考)しかし、終盤になるとこのコラムは経営的判断としてはまともであるという意見がでてきて収束していきます。

 

はじめは「社員目線を無視して激怒するなんて間違いだ!」という視点によって藤田氏が叩かれて炎上していたが、「経営的判断としてはまとも」という視点が現れることによって炎上が分散して収束している。(詳しくは本書で)

 

本書で紹介されている炎上具合を表す曲線の変曲点や極地はおそらく視点の変換点であり、その炎上の本質を知るにはそれぞれの発言がどの視点から書かれているのかを分析すればいいだろう。おそらく視点を明確にしたり視点を変えたりする投稿と、全体の流れに沿った時とともに連続的な視点を持った投稿に分類できると思う。すると炎上を加速させる発言、減速させる発言など興味深い発見があるはずだ。

 

ある投稿を全ての人に見てもらうのは不可能でも新しい視点を紹介することによってそれを見た人の視点を変えることができる。そしてそれは帰納的に続く。。。

つまり視点は「流れる方向」を決定づけることができるのだ。

 

 

 

謝罪や反論で炎上を止めることは出来なくとも、人々の視点を変える投稿ができれば、炎上を止めることができるのかも知れない。